写真のスイセンは、黄房スイセンで7月に入り咲き出しました。我が家にあるスイセンでは、この黄房スイセンが一番最初に咲き出します。黄房スイセンは、黄色とオレンジの房咲きですが、白色と黄色の房咲きになると「日本スイセン」と日本では呼ばれているようです。
真冬に黄房スイセンを見つけると、春の足音が聞こえて来るような気がして少し心が温かくなって来ます。
Daffodil(スイセン)の原産地は、スペイン、ポルトガルを中心に北アフリカまでの地中海沿岸地域です。神話の時代からヨーロッパでは親しまれていました。日本へは中国を経由して平安時代に伝わったとされています。
「Daffodil」は、オランダ語の「Affdil」から付けられた言葉で、元は、ギリシャ語でユリ科の多年草植物種を表す「Asphodelos」から来たと言われています。
和名のスイセンは、中国での呼び名「水仙」を音読みして付けられました。ちなみに、中国語の水仙は、「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来するそうです。別名に、「雪中花」「雅客」という呼び方もあるそうです。
Daffodil(スイセン)の学名が「Narcossis」(ナルシサス)と呼ばれています。この言葉はギリシャ神話から来たものです。
昔、ナルキッソスという美少年がいました。沢山の女性がナルキッソスに言い寄って行きましたが、自分の美しさを鼻にかけていたナルキッソスは、真剣に女性を愛せませんでした。ある時、森の妖精のエーコーがナルキッソスに恋してしまいました。しかし、エーコーは呪いがかけられていて相手の言葉を繰り返すことしか出来ませんでした。そんなエーコーだったので、ナルキッソスに手ひどく振られてしまいました。エーコーは悲しみにより姿が消えてしまいました。その一連を見ていた義憤の女神ネメシスは、ナルキッソスを山の泉に呼び寄せて呪いをかけてしまいました。その呪いは、ナルキッソスが自分自身しか愛せなくなるという呪いでした。そして、ナルキッソスは泉に映った自分自身に恋をして、その場から動けなくなってしまい、とうとうやせ細って死んでしまいました。ナルキッソスが死んだ後に一輪の白い花が咲きました。その花こそスイセンでした。
英語の「Narcissist」(ナルシスト)もこの物語から取られています。
(白色のスイセンの花言葉)
「自己愛」「うぬぼれ」「尊敬」「神秘」「報われぬ恋」
黄色のスイセンにまつわるギリシャ神話
昔、ゼウスとデーメーテールの娘ペルセポネは、冥界の王ハーデスに一目ぼれされてしまいました。ある時、ペルセポネは妖精たちと一緒に花を摘んでいました。するとそこに一際美しいスイセンの花が咲いているのをペルセポネが見つけました。その花を摘もうと妖精達から離れた瞬間に急に大地が裂け、4頭の黒い馬に曳かせた馬車に乗ったハーデスが現れ、彼女を冥府に連れ去ってしまいました。ペルセポネが連れ去らた場所にあった白いスイセンは黄色くなってしまいました。ペルセポネの母親であり、豊穣の女神デーメーテールは怒り悲しみました。
余談ですが、ペルセポネを連れ去ろうとするハーデスの彫像がローマのボルゲーゼ美術館にあります。「プロセルビナの略奪」ペルニーニ作です。ボルゲーゼ美術館の至宝と呼ばれています。
(黄色のスイセンの花言葉)
「もう一度愛して欲しい」「私のもとへ帰って」「愛に応えて」
(スイセンの花言葉)
「希望」という花言葉もあります。早春に輝くように咲くスイセンの花は正しく希望を感じさせてくれる花です。
「希望」の象徴であるスイセンは、ガン患者をサポートする募金活動のキャンペーンのシンボルとしても使われています。
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